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ツチヤンの生活日記

将来にはのび太くんになりたい24歳 ♂ in 名古屋 (・土・) 。※このツチヤンはフィクションです。

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ドアノブを捻るロックンロールな日々 No.031

エレキギターのテクニックのひとつにチョーキングというのがある。

左手で抑えた弦を、抑えたままぐぐっと持ち上げて弦のテンション(張り)を強め、通常より高い音を鳴らすという技である。

この音の上下加減は人間の指先次第で、そこに各人それぞれの味付けがなされる。
所謂「泣きのギター」と呼ばれるものもチョーキングに依る。


私も昔日、やっとエレキギターを手にし、戦さ場へ攻め込もうと、教本と睨めっこしていた。

課題を次々消化していく。
チョーキングの項には、「ドアノブを捻るように」と指南があった。

「ドアノブを捻るように」。
全くもって意味がわからない。
そのせいか、私のチョーキングもなんとも情けない音しか鳴らない。

教本をもう一度眺める。
「ドアノブを捻るように」。
情けない音。
…。

これは、どう思案しても「ドアノブを捻るように」というのだから、ドアノブを捻り、その感覚を習得しなければならないということである。

我が家のドアノブをがちゃがちゃ回す。
両親の訝しむ目つきが度々私を刺すが、私は今ロックンロールの練習をしているのだ、邪魔するでない。

日が暮れるまで存分にドアノブを捻ってみた。
が、チョーキングは相も変わらず情けない音。
これはおそらくドアノブの気持ちが理解しきれていない、ということである。
ならば私はまだドアノブをがちゃがちゃせねばならない。


それから季節も移り変わる頃、ようやっとチョーキングができるようになった。
しかし、来る日も来る日もドアノブをがちゃがちゃしていただけの自分は、未だギターが満足に弾けない。