ツチヤンの生活日記

将来にはのび太くんになりたい28歳 ♂ in 名古屋 (・土・) 。※このツチヤンはフィクションです。

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あなたに No.044


今まで全く気に留めていなかったのに、つい頭の中のソレとアレとコレとを一か所に集めてしまったから大変大変。顧視した途端、ムクムクと大きくなってボクを一飲みにしてしまった。

つまり有り体に月並みに換言をするならば、要は今まで見ないふりをしてきたのだけれど、一度見てしまったからにはもう二度と目を反らすことは出来ず、更にその異形をいくら拭ったところで定着するのを助長するだけだった。

同意を求めるニュース。向こう見ずの自転車。おしゃべりな掃除機。一方通行の教壇。傾いたエスカレーター。無体な信仰。虐げられた烏の歌。欲しがりの井戸端。経時を待つ店員。逃走する猫の爪。真心の大量生産。生き埋めの土地。無休のエアコン。愛想笑いの呟き。二人組の小人。褪せたペットボトル。労苦を移す地下鉄。折り目のついた紙屑。食べかけの食パン。不朽の葉物。隣の客はよく柿食う客だ。誰も照らしていない電灯。機械の賃金。見下された蛙。明るい未来のエネルギー。寄り添う綿埃。補正されたインタビュー。自己中な太陽。濡れたドアノブ。薄明の茶の間。ルーチンな錠剤。包み込む副流煙。子犬の腹痛。何が可笑しい。役目を終えたビニル。ロックの亡霊。子供の気遣い。詰まった排水口。くたびれた雑音。不感症な白鷺。愛に擬態した生理。人のふり見て我がふり直せ。寡黙な段ボール。抱き合った針鼠。ヒステリックな携帯電話。踊る亀。信号機を待つ横断歩道。赤だ、進め。それこそ有り体に言えば見えないふりをしている。慣れた手つきで。

勝手にしやがれ」なんて歯噛みして、その実言わされているに過ぎない気がして口を閉ざした。

チンしたプラスチックの盛り合わせを喰らって、世界は今日も廻っている。



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大きくなったら何になりたい? No.043


常々亀になりたいと放言していたのだけれど、最近それは如何なものかと考えるようになった。自分の将来の事だ、真剣に深刻に辛辣に考え抜かねばならぬ。

亀の他にもう一つやってみたい事が出来たのだ。二兎を追う者は一兎をも得ずとも言う。どっちかにせいどっちかに。兎追いしかの山。つまり右か左か選び抜かねばならぬ。慎重に選ばねば泥水にドボンだ。そうそう二兎を追う者は一兎をも…。

あ?この俚言はおかしくないか?ボクは兎を1羽だけ追いかけていても捕まえられる気が全くしないぞ。運動不足に平和ボケ。途中足が攣って逃げられることはまず間違いない。よっぽど不思議の国のアリスの方がしっかり兎を追っていけるとすら思う。ギターボーカルを目指す者はリズムをも得ず、くらいにしとこう。うん、それがいい。

将来の夢なんていうとそれを表すのが途端に恥ずかしくなる。忌憚なく発していたのはそれこそ保育園に通っていた頃くらいなんかじゃないか。ボクはアンパンマンポケモンマスターになりたかった。しほちゃんに大笑いされてから公言するのは止めた。そうかあいつのせいか。

成人してから通っていた保育園の近くを通ったことがある。懐かしくなってつい立ち寄ってみたら、驚いたことに当時の担任の先生が花壇を手入れしていた。十何年間経過しているので相応に様相も変化しており、それに何より苗字も変わっていた。大変嬉しいことにボクのことを覚えていてくれて、会話も弾んだ。あの頃と比べて声も低くなったし何より敬語だし、きっと先生は僕以上にこそぐったい思いをしているんだろうな、なんて考えながら。

先生は昔のように問うた。
「大きくなったら何になりたい?」

僕は答えた。
「これ以上大きくなる予定はありませんよ。」

陽が斜めに差す園庭で、無邪気にはしゃぐ児童たちの中に、二つばかり笑い声が溶け込んでいった。

亀を諦めたボクは今、のび太くんになりたいと思っている。




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僕の好きなおじさん No.042

昨日はおでいとをしてきた。相手は中学の時の先生。担任をしてもらったことはないのだけれど、3年間理科を見てもらった。5年前に定年退職をされてから、とってもお暇なのでたまに遊んでもらって、たまに遊んであげている。

何度も映画に連れて行ってもらったし、吹奏楽のコンサートに行ったし、コメダに行ってシロノワールを食べたし、ラグビーの試合を見に行ったし、ダンボールの遊園地に行ったし、トヨタ産業技術記念館に行ったし、一緒にご飯を食べたし、大須を練り歩いたし、ブックオフに行ったし、政治を批判したし、ダンスの発表会を見に行ったし、買取王国に行ったし、楽器屋さんでギターを見たし、屋台でたませんを食べたし、お花見をしたし、アニメイトに行ったし、文化祭に行ったし、ガチャガチャをしたし、模型の展示会に行ったし、名駅を練り歩いたし、駄菓子屋に行ったし、ヴィレッジヴァンガードに行ったし、ラジコン戦車で遊んだし、サイクリングに行ったし、成人式に連れて行ってあげたし、たくさん電話をしたし、自動車免許を取った時には一番にお祝いをしてくれた。今度は一緒に音楽をする約束をしている。

先生はたまに「私たちの縁は不思議だね」と仰って、ボクはその意味がよく分からずにいたのだけれど、昨日おでいとをしている最中に「あれ?なんでボクはこの人とこんなところにいるんだろう」と考えてしまって、思ってしまったからにはその疑問符は解けなくて、始終頭を傾げていたのだけれど、それでも楽しかったのでまぁいいか。

高校に入ってから、一度ボクが怒髪天をして学校で滅茶苦茶してしまったことがある。たくさんの人に叱られたのだけれど、先生だけは笑いながらよくやったと褒めてくれた。そんな不思議なお人で、だからなのか当時からとっても人気のある先生だった。本当に先生のことを嫌う生徒なんか1人もいなかったんでないかってくらいに。最近Facebookを始められて、毎日自分で作った動画や写真を添えた日記をアップされている。元同級生共が次々に蝟集して、僕はその様子に辟易して「あー、使い方を教えてあげなきゃよかった」なんて餅を焼いておったけれど。

先日23歳の誕生日を迎えた。改めて考えてみると中学に入学してから10年の月日が経過したということになる。あの頃君は若かった。バンバンバン。中学に入学してから10年。つまり先生との付き合いも10年になる。いったいいつまで一緒に遊べるかな。いつまででも遊べたらいいな。

僕の好きな先生、僕の好きなおじさん。


ぼくの好きな先生

ぼくの好きな先生


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