僕は密かに「歩く公害」と呼んでいる。
うちの兄妹仲は良くない。
宇宙中どこでもそんなものかもしれないが、
風呂に入れば「早く出て」と言われ、
兄貴ではなく「おい」と呼びかけられ、
やつが散らかしたままの食器を代わりに洗っているときには、送料無料でヤフオクに出品してやろうかと思う。まぁ向こうもそう思っているだろうが。
人間はないものをねだり、隣の芝は青く見えるもので、そこに色欲を妄想でくるんだら「妹が欲しい」なんて戯言が一丁上がる。
ただ、この図式は持つものが講釈垂れる傲ったもので、例えば恋人なんていないほうがいい、と言えるあいつらほど厚顔でもない。
しかし持つ方は持つ方で、実は持たないものに本に羨望していたりする、という図式もあるのだ。
持つものは持たないものに疎まれ、
持つものに「ない」を持っているという持たないものは疎まれ堂々巡る。
どちらにしても、やはりないものねだりだ。
僕は甲羅が欲しい。
- 作者: 伏見つかさ,かんざきひろ
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