だいたい、音を外さずに大きい声出してれば点がもらえるし、なにより楽しかった。
…でもずっと1つだけ遺憾に思っていたことがある。
僕は正直、合唱で男子パートじゃなく女子ソプラノパートを歌いたかったのだ。
小学校まではみんな1つの、同じパート、メロディを歌うわけだけど、中学に入ると女子ソプラノ、女子アルト、男子(テノール、バス)みたいに分けられて男子は大抵ハモるための低音パートを歌わされる。
しかも丁度いい感じに盛り上がってくるサビの部分とかで「ん゛〜」みたいなメロディになるのがたまらなく嫌だった。
例えて言うと女子はメインボーカル、男子はコーラスみたいなわけである。
合唱って文字通り合わせて唱えるわけで、全体としてみたときにとても調和のとれた音楽になるわけだけど、それを形成する集合のなかの1つとしてすれば「ん゛〜」ばっかりで正直気持ちは萎えていた。
また、男子だけでパート練習をするとずっと「ん゛〜」「ん゛ー」「ん゛ー!」といった具合で気分も滅入ってくる。女子が心底羨ましかった。
僕も主旋メロディを歌いたかった…。
そんな人生。(500文字)